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生産性向上

時間管理におけるあなたの性格は?

時間管理を成功させる秘訣は、性格ごとの強みを活かすことにあります。あなたは、アクションヒーロー型、ディーバ型、馬車馬型、イエスマン型、完璧主義者型のどのタイプでしょうか?マシュー・ジェンキンがレポートします。

 

コーチングからアプリまで、業務量の管理を改善して生産性を向上させると謳う製品やサービスは後を絶ちません。それでも、マーケティングのルーシーが帰宅時間に向けてその日のタスクを次々に片付けているように見える一方で、なぜあなたは5時になってもTo Doリストを半分終えるのがやっとなのでしょうか。それは、効果的な時間管理とは、働いた時間ではなく、私たちの性格によって決まるからです。

ビジネスリーダーたちは長年にわたって、誰にでも通用するアプローチがあるという点を疑ってきました。そのため、ビジネスの場では、労働者を評価する方法としてMyers-Briggs Type Indicator(MBTI)(1)などの性格診断テストが人気になりました。多くの人は、MBTIの成功の秘訣はそのシンプルさにあると語ります。MBTIは、カール・ユングの研究に大まかに基づいた93の質問に基づき、全社員を内向、外向、思考、感情、判断的、知覚的といった指向の組み合わせによって16の異なるタイプに分けることができます。

マネジメントコンサルタントであり行動研究の専門家であるビバリー・フラキシントンは、いかなる時間管理の手法も、成功するためには、職場における個々人の行動を考慮しなければならないという点に同意しています。

「数年前に、私の整理整頓と効率性を高めるサポートをしてくれる人を採用したことを覚えています。その人は何もかも箱に入れて、隠してしまいました」と彼女は言います。「私はとても視覚的な人間で、目の前に物があるのが好きなので、うまくいきませんでした。それではほとんど仕事ができなかったのです。その時初めて、効率性を高めるにはその人が生まれ持った性格のスタイルに合わせなければいけないのだと知りました」

では、よくある5つの性格タイプとはどのようなもので、それぞれがどのように行動を管理すれば、時間管理を向上させることができるでしょうか?

1.アクションヒーロー型

ワンダーウーマンやスーパーマンのように、このタイプの人はビルが燃えているのを見ると消防隊を待たずに駆けつけます。不可能に思えるタスクのリストを渡すと、素早くやり遂げてしまいます。ただし、課題をすぐに片付けようとするあまり、見落としが多いのが弱点だとフラキシントンは言います。

時間管理に必要な変化: このタイプの人は結果を重視し、タスクの緊急性や重要性について熟考することなく行動することが多いと、スージー・ロバーツ(人材育成コンサルタント「Hunter Roberts(2)」の創業者、エグゼクティブコーチ)は言います。彼女はこのタイプの人に対して、受信ボックスに届くメールに片っ端から飛びつく前に、一歩踏みとどまって最初に何をする必要があるかをよく考えるようアドバイスしています。

『7つの習慣 成功には原則があった!』(3)の著者スティーブン・コヴィーは、重要/重要ではない、緊急/緊急ではないという4つのメトリクスを使ってタスクの優先順位を付けることを推奨しています。

2. ディーバ型

オフィスのパーティで同席するには楽しい相手ですが、おしゃべりに費やす時間を考えると、このタイプの人は仕事をこなすことができるのか疑問です。明るくフレンドリーで、おしゃべりや楽しいことが好きですが、To Doリストを達成することはおろか、一部のタスクに着手しただけで1日が終わってしまいます。成果を自慢する傾向にあるため、実際よりも生産性が高いという印象を与えているとロバーツは主張しています。

フラキシントンはこのタイプの人を観察し、「気付いたら時間が過ぎてしまっているのです。今日は15件のタスクを片付けるつもりだったのに、会話に加わり、楽しんでいるうちに、時間が経っていることに気付きません」と述べています。

時間管理に必要な変化: このタイプの人は、戦略を持つと大きな効果が得られます。フラキシントンは大きなプロジェクトに取り組む際には、小さなステップに分けて、タスクをカレンダーに登録し、リマインダーを設定することを推奨しています。仕事とプライベートのイベントを1箇所にまとめるマスターカレンダーがあれば、スケジュール作成をより速く、シンプルにし、リスケジューリングの必要性も減らすことができます。

メールの管理も同様に重要です。McKinsey Global Instituteが2012年に行った調査(4)によれば、従業員はメールを読んだり返信したりすることに、平均で1日の1/4を費やしています。この調査によって、メールは「役割に特有のタスク」に次いで2番目に時間のかかる作業であることが明らかになりました。

マーケティングとセールスの専門家であるザック・ハンロンは、Fast Company(5)に寄稿し、件名によってメールを「整理する」のをやめて、締め切りを基準にして考えることが秘訣だと述べています。受信ボックスをTo Doリストとして捉えるのではなく、時系列順の緊急度/重要性に基づいて5つのフォルダーを作ることを提唱しています。

時計の針の上を小さな男性が歩いている模型

 

3. 馬車馬型

この性格タイプの人は、ゆっくり着実にこなすことで成功できます。このタイプの人は、全てを徹底的に考え、注意深く几帳面で、タスクの実施にあたっては比較的独立心があるとロバーツは説明します。そのため、計画作成と優先順位付けはとても上手ですが、用心深すぎるようにも見え、活発でない様子が周囲の人を苛立たせることもあります。彼らの仕事に対する熱心さは、作業の分担を望まず自分で抱え込もうとすることにもつながる可能性があります。

時間管理に必要な変化: 「人に手渡し、相手を信頼して任せるということは、このタイプの人のDNAには刻まれていません」とフラキシントンは言います。「ですから、1日の予定を見て、集中すべき最も重要なことを3つか4つ選ぶべきです。必ず自分がやらなければいけないタスクを除いて、どのタスクを人に任せることができるかを決断します」

業務分担に関する問題はよくあることのようです。時間管理に関する2007年の研究(6)では、調査対象となった332社のうち半数近くが、従業員の業務分担スキルを懸念していることがわかりました。コンテンツマーケティング事務所、AudienceBloomの創業者兼CEO(最高経営責任者)のジェイソン・デマーズは、Incの記事(7)で業務分担に苦慮しているリーダーたちに向けてアドバイスをしています。彼は、優先順位付け以外に、例えば、最も作業量が少ないスタッフではなく、最もスキルのあるスタッフに業務を割り振るよう提案しています。

4. イエスマン型

究極のチームプレイヤーであるこのタイプの人は、同僚に手を貸しサポートすることを好みます。もちろん、共有することとは思いやることですが、注意すべきは、このタイプの人は断ることを躊躇し、最終的に自分が処理できるよりも多くの作業を抱えてしまうことになりかねない点です。その結果、非常に長い時間働くことになるか、締め切りを守れなくなるとロバーツは説明しています。

時間管理に必要な変化: 心理療法士でライフコーチのヒルダ・バークは「ノー」と言えるようになることだと述べています(8)。「こうしたタイプの働き方を変えることは時間がかかりますが、それでも達成することはできます」と彼女は言います。「もしもまだ断りきれずに苦労していて、限界だと感じているようであれば、休憩を取ることが重要です」

当然のことのように聞こえますが、定期的に休憩を取ることで生産性が向上するという研究結果があります。従業員のパソコン利用状況をトラッキングする生産性向上アプリ、DeskTimeによれば、理想的な休憩時間は17分間だといいます。また、コーネル大学の人間工学研究所は、1999年にコンピュータープログラムを使って労働者に短い休憩を取るよう促す研究を行いました。

このプロジェクトは「アラート(仕事の手を止めるようリマインドするもの)を受信していた労働者の方が、受信していなかった労働者よりも平均で13%正確な仕事をしていた」と結論付けられています(9)。このシンプルながら効果的な方法は、Marinara Timer(10)からPomoDone(11)まで、多数のアプリを生み出しました。

5. 完璧主義者型

このタイプの人はタスクを完了させるまでに最も長い時間を要しますが、その名の通り、量よりも質を高めることに大きく重点を置いています。フラキシントンは、彼らにとっては正確性がとても重要であるため、多くの仕事を抱え過ぎると余裕がなくなってしまい、苦戦するのだと説明しています。また、何かを強制しようとすると彼らは非常に強くストレスを感じます。

時間管理に必要な変化: 完璧主義者にとって最大の敵は混沌です。ですから、未読メールでいっぱいのごちゃごちゃした受信ボックスは彼らにとって恐怖です。メールでのやり取りは毎年4%ずつ増加しています(12)ので、この問題に取り組むのは早ければ早いほど良いでしょう。多すぎるメールの量に対応するには、複数の方法があります。

最もよく知られている方法の1つに「インボックスゼロ」と呼ばれるものがあります。これは、常に受信ボックスを空、またはほとんど空にしておく方法です。おそらくこの方法そのものが仕事になりますが、提唱者であるマーリン・マンは新着メッセージに対して、削除、委任、返信、延期、対応の5種類の選択肢があると言います(13)。これにはどのように優先順位を付けるのか、効果的に物事に対応するのか、といった事柄に対する困難な選択も伴い、よって受信ボックスを効果的にTo Doリストにすることができます。


 

マシュー・ジェンキンは、英国のフリージャーナリストです。また、Guardian紙が運営する求職者と転職希望者のためのコミュニティサイト、「Guardian Careers」の元編集者でもあります。

出典:

(1)https://www.myersbriggs.org/my-mbti-personality-type/mbti-basics/

(2)http://www.hunterroberts.com/

(3)http://www.amazon.com/The-Habits-Highly-Effective-People/dp/1455892823

(4)http://www.mckinsey.com/insights/high_tech_telecoms_internet/the_social_economy

(5)https://www.fastcompany.com/3067012/the-only-five-email-folders-your-inbox-will-ever-need

(6)http://www.i4cp.com/news/2007/06/26/you-want-it-when

(7)https://www.inc.com/jayson-demers/7-strategies-to-delegate-better-and-get-more-done.html

(8)https://www.theguardian.com/careers/2017/feb/28/overwhelmed-at-work-six-tips-on-how-to-beat-stress

(9)http://www.news.cornell.edu/releases/Sept99/computer.breaks.ssl.html

(10)http://www.marinaratimer.com/

(11)https://pomodoneapp.com/

(12)http://www.radicati.com/wp/wp-content/uploads/2017/06/Email-Market-2017-2021-Executive-Summary.pdf

(13)https://www.youtube.com/watch?v=z9UjeTMb3Yk