A man playing mini golf in his office

生産性向上

今すぐ物事を先送りにすべき意外な理由

研究によって、物事を先送りにすると多くのことを達成できることがわかりました。常に先送りにしているベン・ハマーズリーにとっては、朗報です。

 

先送りにすることについて書く時には、避けられないオチがあります。まずはそれを先に済ませてしまいましょう。

このテーマに関する本はたくさん持っているのですが、まだ読んでいません。それを乗り越えるためのテクニックを学ぶことになっているのですが、今日は止めておきます。書かなければいけない記事があるのですが、まあいいでしょう。それはそうと、「編集者に返さなければいけない借り」のリストは、どんどん長くなっています。

冗談と個人的な皮肉はさておき、私たちは物事を先送りにすることについて考えを改める必要があります。先送りは必ずしも悪いことではないのです。すぐ後で詳しく説明しますが、実は、先送りにすることは良い効果もあるのです。

まずは、定義を整理してみましょう。物事を先送りにする理由はたくさんあります。失敗や成功、そしてそこから派生する変化を恐れてタスクを避ける人がいます。こうした人たちは、変化によってもたらされるエゴの攻撃から、現状の生活や自分たち自身を守ろうとしています。

私のようにADHD脳の人たちは、先送りをすることによって、リスクに関するホルモンを高めています。それがなければ脳がめちゃめちゃになってしまうのです。こうした人たちにとっては、プロジェクトに火が付くまで、あるいは薬が効いてくるまでは、何も起こりません。他の人たちは、意思決定するのを避けるためであれば何でもします。単純に、そうすることによって意思決定の責任を担うことを避けているのです。

おそらくもっと多数のグループは、スプレッドシートを開くよりもTwitterにタブを切り替える方が面白いという理由で先送りをしています。理由は何にしても、あなたは1人ではありません。そして、心配は不要です。今すぐに決断する必要はありません。人口のおよそ20%は「慢性的に先送りをする人」だとみなされています。

心の声を忘れよう

こうした理由は全て、色々な意味で理解できます。その一方で、完全に正当だとは言えないものの、物事を少しだけ先送りすべき理由がもう1つあります。実は、先送りすることには良い効果があるのです。

決して冗談ではありません。特に、難しい問題を解決する必要のあるプロジェクトを先送りすることは、理にかなっていると言えるでしょう。先送りすることで解決に近づける場合があるからです。先送りにすれば、エゴや神経症に邪魔されず、無意識のうちに複雑なタスクに取り組むことが可能になります。あるいは、自分が本当はやりたくないことを特定する方法にもなり得ます。先送りすることは、自分自身を発見するチャンスです。

最初の1つはよく知られた現象です(1)。多くの人が、シャワーを浴びている時や、目が覚めた時、あるいは走っている時に良いアイデアを思いつくのはそのためです。問題を頭の後ろに追いやり、はっきりとした意識の外に置くことで、そうしなければ避けられないメタ注釈にとらわれない自由な角度で脳がその問題に取り組むことができるようになります。メタ注釈とは、最も効果的な方法や本質的な方法を取ろうとする際に邪魔をしてくる心の声のことです。そうした声から自由になり、頭の後ろの方で問題が熟す間に、より良い解決策を思いつく可能性があります。

丸めた紙と熱気球の落書き

先送りにすることによって、無意識のうちに複雑な問題に取り組むことが可能になります

 

焦らずに行こう

この件に関する研究は、以前から行われています。1920年代には、ソ連の心理学者ブリューマ・ツァイガルニク氏が、後にツァイガルニク効果(2)と呼ばれるものの特徴を打ち出すのにつながる実験を行いました。ツァイガルニク効果は、人は達成できたタスクよりも、達成できなかったタスクや中断しているタスクの方をよく覚えているという現象です。別の言い方をすれば、物事を先送りにすると、それが頭から離れないということです。

また、ツァイガルニク氏自身が1927年に提案したように、勉強中に休憩を取って関係のない物事に取り組んだ学生は、休憩を取らなった学生よりも学習内容をよく記憶している傾向があります。あらゆる認識と同様に、物事に処理する時間を与える、または考えが熟すのを待つというメタファーは、文字通りに考えると間違っていますが、比喩としては間違っていません。物事に十分な時間を与えることには効果があるのです。

自分自身を知ろう

自分がなぜ物事を先送りにするのか、その理由を知っておくと役に立ちます。物事を煮詰める、というのが1つです。しかし、それ以外の理由で物事を先送りにしているのであれば、何か別のことが起こっているというサインかもしれません。

例えば、特定のプロジェクトを深刻なまで先送りにすることは、そのプロジェクトはあなたにとって適切なものではないことを示している可能性があります。ある物事に取り組むことが決してないのであれば、本当はやりたくないというのが理由かもしれません。やる、やるべきだ、やるべきなのか、と考えていても、最終的に重要なのは自己認識です。先送りとは悟りへの道なのです。到達すべくその道を進みましょう。

先送りにしたり、判断したりといった行動は、仕事の価値や労働倫理に関する文化的信念が複雑に絡み合っているため、ネガティブな影響以外のものが見えにくいものです。しかしよく見れば、先送りは(うまく活用すれば)緊急の問題やより広い生活環境を解決する優れたツールになり得ます。これ以上ないという最終的な段階で注意を向けてみる価値はあります。たとえ最後の文になって、先送りをテーマにした別のジョークを考えようとして思いつかなかった場合でも。その件については、また明日考えます。

 


ベン・ハマーズリーは、米国を拠点とする英国人のインターネット技術者であり、ジャーナリスト、作家、キャスターでもあります。

出典: 

(1)http://uk.businessinsider.com/why-people-get-their-best-ideas-in-the-shower-2016-1

(2)https://en.wikipedia.org/wiki/Zeigarnik_effect