A man with man hands at a desk

生産性向上

マルチタスクの神話 – やるべき仕事を本当にこなす方法

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マルチタスクに取り組んでいる間、気分は良いかもしれませんが、効率を損なう可能性があります。スタッフが一度に1つのタスクに集中することで、結果的にはより幸福かつ生産的になれるさまざまな手法を、マシュー・ジェンキンがレポートします

 

英国の起業家カール・リーダー氏は、自分の会計事務所D&Tでの仕事がうまくいっていると考えていました。そのため、チーム内で、メンバーによって同じタスクにかける時間が大きく違うと知って、衝撃を受けたのです。一部のスタッフは単に仕事をこなすのに3倍の時間がかかるだけなのか、それとも他に理由があるのか。詳しく掘り下げてみることにしました。

そして彼は、最も時間のかかっていたスタッフが、実は最も並行して複数の作業を行っていたことを発見したのです。大きなプロジェクトに取り組みながら、同時に、メール、ソーシャルメディアからのリクエスト、電話応対も行っていました。

「そのスタッフは生産性の低下・上昇現象(1)に苦しんでいました」とリーダー氏は言います。「それほど重要ではない別の仕事のために、今している仕事から離れるとします。すると、それがわずか2~3分間であったとしても、元の流れに戻すまでに30分もの時間がかかってしまうのです。余分な時間がかかっていたのはまさにここでした」

マルチタスクは現代の世界では避けられないものとみなされています。同時に複数のことをこなすのは、たとえそれがメールをしながら話をするといった、シンプルに見える作業であっても、できて当然と考えられています。しかし、同時に複数のタスクに取り組むことで生産性が上がるという考えは、実は誤っているのです。

アメリカ心理学会の調査(2)では、私たちがマルチタスクと考えているものには効果がなく、非効率的であることが示されています。それは「マルチタスク」という呼び方が適切ではないからです。デイブ・クレンシャー氏は、著書『The Myth of Multitasking』の中で次のように説明しています。「マルチタスクについて述べるとき、多くの人はスイッチタスキングについて語っています。やり方はどうあれ、2つの事柄の間で急速にスイッチを切り替えることは、さほど効率的でも効果的でもありません」

時間がかかるばかりか、知的能力にも悪影響を与えかねません。スタンフォード大学の研究(3)では、マルチタスクを行う人のパフォーマンスは低く、集中力の持続時間も短いことが明らかになりました。実験によって(4)、あるタスクから別のタスクへと注意を切り替える時、頭の一部分はまだ前のタスクに集中したままになっていることがわかりました。タスクを切り替えるたびに、他のタスクにわずかに気を取られながらその前には何に取り組んでいたのか思い出さなければなりません。これによって認知負荷がかかる可能性があります。

また、その他の研究結果(5)によれば、マルチタスクには、一度に1つのタスクに集中するより40%も多くの時間が必要になります。実際、カリフォルニア大学のグロリア・マーク氏は、元のタスクに戻るまでには25分間(6)かかると発見しました。

では、マルチタスクに効果がないのであれば、どのような解決策があるでしょうか?

1. モニタリングと計画

カール・リーダー氏は、数日間、平均的な日にどのようなことを行っているかモニタリングすることを推奨しています。「取り組んでいたタスクを素早くメモするのに時間をかけることで、本当に重要なことに集中していた時間がとても短かったことがよくわかるようになりました」と彼は述べています。

この知識をもとに、リーダー氏は時間を最大限に活用するため、毎日を真剣に計画するようになりました。「1日の過ごし方によって自分を形作るのではなく、自分が毎日をどう過ごすかを形作ったのです」と彼は言います。「今は、夕方になると、次の日のために具体的なタスクを完了させる時間を計画しています。また、自由時間を用意してその他の業務にも取り組めるようにしています。この計画を始めてからというもの、自分がどれだけのタスクをこなすことができるかに驚き続けています」

赤い背景とストップウォッチ

マルチタスクを止めて、日々の貴重な時間を取り戻しましょう

 

2. 「タスクの日和見主義者」になる

Forbes誌の記事(7)で、シャニ・ハーモン氏とルネ・カリナン氏は、一度に全てのことに取り組もうとするのは辞めて、その代わりに「タスクの日和見主義者」になること、つまり、適切な期間の中でタスクに合った機会を掴むことをすすめています。

まずは、完了までにかかる時間に基づいて、To-Doを3つのバケツ(小、中、大)に分けるよう提案しています。これが把握できれば、最大限に生産性を発揮できるよう1日を最適化できます。

小のバケツ(メールの返信など15分以内で終わるタスク)は、活動の合間の短い時間でも速やかに終えることができます。

中のバケツ(ある程度の集中力を必要とするが、比較的控えめなタスク)は、ミーティングがキャンセルされた時や、飛行機が遅れた時などに取り組むことができます。

大のバケツ(戦略的な文書を書いたり、データを分析したりなど、集中が必要となるタスク)は、スケジュールに予定を入れて、その作業を完了させるために時間を押さえておく必要があります。

ハーモン氏とカリナン氏が提案しているように、短い時間で一気に中小のタスクを片づけることで、より大きなタスクにさらに集中できるようになります。通常、こうしたタスクの方が重要度が高いものです。

3. 1日を「塊」に分ける

生産性のエキスパートであるマリアンヌ・ページ氏は、1日を時間の塊でブロック分けする時にこそ真に生産的になれると提唱しています。例えば、90分ごとに分けて、間に短い休憩を挟むなどです。そして、各タイムスロットにタスクやプロジェクトの一部、ビジネスの分野などを割り当て、与えられた時間の間はそのタスクから離れないようにします。

「まずは前もって1日を計画します。そうすることで、何をするか、そして各セクションには時間の制限があることが無意識にわかりますので、頭の中で計画を立て始めるのです」とページ氏は説明します。「間に挟む休憩中には、リフレッシュして集中力を次のタスクや次のビジネス分野に向けることができます」

4. ポモドーロテクニックを取り入れる

これはタスクを小さな塊に分けるテクニックです。通常は間に休憩を挟んで25分ずつに分けます。1980年代後半にフランチェスコ・シリロ氏によって生み出された時間管理のテクニックです。大学で学びながら、シリロ氏は学習時間の効率的な活用に苦労することがよくありました。うわさによると、彼はこのテクニック名の由来になったトマトの形をしたキッチンタイマーを使い、数分間タイマーをセットして短時間で集中的に勉強をし、その後に休憩をとったそうです。

このテクニックは効果的で、結果として手元にあるタスクにより集中できるようになり、最終的にはより多くのタスクをこなせるようになりました。このシンプルながら効果的な方法によって、多くのアプリが生み出されました。例としてMarinara Timer(8)やPomoDone(9)があり、いずれもこのテクニックを使いこなすために便利なタイマーを提供しています。

5. より深く集中する

意志の力を高めることもまた、生産性を高めるスキルです。Wall Street Journal誌のベストセラーリストに掲載された『Deep Work』の中で、作家であり大学教授のカール・ニューポート氏は、タスクに対して完全に集中できる能力を賞賛しています。

彼はディープワーク(大事なことを集中してこなすこと)を遂行する能力を「21世紀のスーパーパワー」と呼び、「認識能力を限界まで引き上げ、妨げられることのない集中した状態で遂行されるプロフェッショナルな活動であり、こうした努力は新しい価値を生み出し、スキルを向上させ、容易に真似できることができないもの」と定義づけています。

注意が散漫になることのない隔離されたスペースと時間を用意すること、ソーシャルメディアをオフにすること、飽きた時でもタスクを切り替えたい気持ちに抗うこと、シャローワークを減らすこと(つまり、時間が奪われる小さなタスクに費やす時間を最小化すること)。ニューポート氏は、これらをディープワークの4つの原則として挙げています。

このテクニックを魅力的にしているのは、これがオール・オア・ナッシングのアプローチではないという点です。集中を妨げるものを完全に取り除く必要がありません。そうではなく、ディープワークに取り組んでいる時だけは、完全に取り除くという考えです。

6. ハンターのようになる

さらにこの先を行くのが、オンラインフォームを作るソフトウェア企業、JotFormの創設者であるアイタカン・タンク氏の生み出したハンターメソッドです。マーク・トウェイン氏の「カエルを食べてしまえ」という有名なアドバイス(最もやりたくないタスクから1日を始めることを推奨するもの)の延長線上にあるものとして、タンク氏は、1日に1つのタスクだけに集中し、そのタスクを完了させることを目標にする方法を提唱しています。

ライラ・マクレラン氏がQuartzの記事(10)に書いているように、「あなたがすべきことは、その日に注力するタスクを1つ選ぶことだけです。たとえそれが完了させるのに1日もかからないタスクであったとしても構いません。そのタスクをポストイットに書いてパソコンの画面に貼り付け、指針とします。返信しなければならないテキストメッセージやクリーニングに出す衣類など、仕事をしているべきタイミングに考えてしまいがちなどうでも良いことに思考がさまよい始めたら、そのメモを見るのです」

タンク氏のテクニックは、原始人の生存戦略からインスピレーションを受けています。「ハンターがその日獲物を得ることができれば、家族は食べることができます。獲物が得られなければ、食べられません。これほどまでにシンプルだったのです」と彼は書いています(11)。「ハンターには、メールをチェックしたり、時間のかかるミーティングに出席したり、フォローアップのメールを送ったりするような時間はありませんでした。ましてToDoリストを作る時間など、もってのほかです」

 


マシュー・ジェンキンは、米国のフリージャーナリストです。また、Guardian紙が運営する求職者と転職希望者のためのコミュニティサイト、「Guardian Careers」の元編集者でもあります。

出典:

(1)https://en.wikipedia.org/wiki/Ramp-up

(2)http://www.apa.org/research/action/multitask.aspx

(3)http://news.stanford.edu/2009/08/24/multitask-research-study-082409/

(4)http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0749597809000399

(5)http://www.apa.org/monitor/oct01/multitask.aspx

(6)http://www.nytimes.com/2013/05/05/opinion/sunday/a-focus-on-distraction.html?_r=0

(7)https://www.forbes.com/sites/harmoncullinan/2016/10/06/stop-all-multitasking-become-a-task-opportunist-instead/#79d8c5061361

(8)https://www.marinaratimer.com/

(9)https://pomodoneapp.com/

(10)https://qz.com/work/1369733/the-hunter-method-productivity-hack-can-bring-clarity-to-your-day/

(11)https://www.jotform.com/blog/to-do-list-alternative/