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ビッグデータとオフィス

オフィスが、そこで勤務する従業員の活動データを収集できると言うと、ジョージ・オーウェルの『一九八四年』のような話に聞こえるかもしれません。しかし、恐ろしい話を想像する必要はありません。むしろ、はるかに便利な話なのです。これから、リージャスのジェームズ・ミッチェルがハンナ・ハドソンとのインタビューの中で説明します。

 

「フレキシブルなワークスペースがもたらす素晴らしいメリットの1つは、まさにフレキシブルであるということです。では、本当に必要なスペースをどのようにして把握すればよいのでしょうか?」と、リージャスでビジネスソリューションの責任者を務めるジェームズ・ミッチェルが尋ねます。「また、従業員がどのように施設を使用しているか、把握していますか?彼らは何を必要としていますか?その答えを把握できて、ワークプレイスを改善できるとしたら、素晴らしいと思いませんか?」

ミッチェルは、リージャスに10年近く勤務しており、現在はリージャスのIT部門でソリューション設計を管理しています。ミッチェルの担当業務の1つは、リージャスのビジネスセンターから収集したデータを使って、企業や従業員のワークスペースエクスペリエンス(職場の経験価値)を向上させる方法を探求することです。

「データの収集は、ソリューション設計のプロセスにおいて不可欠です。お客様のニーズを正しく理解できるようになります」と、彼は述べています。「それは、コーヒーを何杯飲んだかを数えることではありません。もっと幅広い傾向やパターンを把握すること、そして、その情報を使って企業や従業員をサポートするということです」

温度調節

わかりやすい事例として、データ通信量の監視があります。「インターネット接続の使用量を計測することで、容量を増やすべきタイミングを予測することができます」と、ミッチェルは説明します。「そうすることで、お客様が効率的に仕事を進められるよう、最高のパフォーマンスをお届けすることができます」

データは他にも活用できます。たとえば、オフィス環境をより快適にすることができます。「センターを訪れた方から多くいただくご意見は、室内温度に関する問題です」と、ミッチェルは述べています。「そのため、室内に設置したセンサーテクノロジーを使って、室温の監視、報告を行うプログラムを開発中です」

ミッチェルは、この統合システムが今後どのように稼働するのか、次のように説明しています。「各室の温度センサーから中央システムに報告が入ることで、このデータを使って問題を特定し、お客様が気付く前に解決することができるようになります」

ジェームズ・ミッチェルの写真

リージャスでビジネスソリューションの責任者を務めるジェームズ・ミッチェル

 

ユーザーフレンドリー

センサーテクノロジーは、他にも活用方法が考えられます。「小売業界のように、存在検知や熱感知を使って利用者の足取りをマップ化することで、オフィスのレイアウト設計を最適化する際に役立ちます」と、ミッチェルは述べています。

センサーをあらゆる場所に設置することで、何かを侵害するようなことにはならないのでしょうか?「忘れてはいけない重要な点は、収集されるデータは常に匿名化されており、個人を特定することはないということです」と、ミッチェルは回答しています。「オフィス環境をより正しく把握することが目的であり、そのために有用なデータだけを収集しています。私たちが目指しているのは、センターを利用者にとってより優れた環境にすることです」

ミッチェルはさらに、「車について考えてみてください」と付け加えています。「メーカーは、GPSのおかげで運転の仕方や行き先、時速などの情報を把握することができます。メーカーは、その情報があなたに関するものかどうかは把握していませんし、そのことは問題ではないのです。メーカーが知りたいことは、車の性能を向上させるために何ができるのか、安全性や快適性を高めるために何ができるのか、ということです」

ミッチェルは、2018年5月に一般データ保護規則(GDPR)が施行されたことを受けて、利用者のプライバシーの尊重について、その重要性を力説してくれました。「リージャスが欧州連合(EU)の新しいデータ保護法を確実に遵守するため、大規模なプログラムを実施したところです。さらに、今回の施行に影響される国だけではなく、リージャスの世界中のオペレーションにどのように適用していくのが最善か、検討しているところです。プライバシーはすべての人にとって重要なものであり、各国の法律を遵守するだけにとどまらず、積極的に対応したいと考えています」

より優れたオフィス

最後に、データ収集から得られる成果とは非常に優れたオフィス環境であると、ミッチェルは述べています。「お客様がどのようにリージャスのセンターを利用しているのか把握したいと考えています。それにより、お客様が必要としているものを提供し、必要としていないものは取りやめることができます。新しいセンターを設計する際に、デスク数の削減やラウンジスペースの拡大など、利用者のニーズに応じてレイアウトを調整することができます」

「既存のビジネスセンターを強化することも可能です。室温に加えて、騒音レベルや照明の輝度を監視し、そこから学習した内容を反映させることができます。音響バッフルを設置したり、ホワイトノイズを流したり、特定のエリアで照明の輝度を上げたりと、お客様のニーズにより素早く対応することが可能になります」

将来的には、データを使って、あらゆる人を対象に、それぞれ完全にカスタマイズされたワークスペースを創り出せるようになるでしょう。「出勤したら、希望通りのスペースが用意されている様子を想像してみてください」と、ミッチェルは語ります。「室内は適温に保たれ、照明の明るさも適切で、ネットワークも希望通りに設定されており、コラボレーションツールも準備されています。さらに、お客様のお気に入りのコーヒーもご用意しておきましょう」

「これこそが、現実世界でデータがもつ力なのです」と、ミッチェルは述べています。「データを適切に、責任をもって扱えば、私たちの生活を豊かにする手助けとなるのです」

 


ハンナ・ハドソンは、リージャスのマガジンの編集者です